関節リウマチとは
関節リウマチとは免疫の異常により関節が炎症を起こし、軟骨や骨が破壊され関節の変形をきたす病気です。手足の関節で起こりやすく時に肺や腎臓など内臓器を侵すこともあります。
どの年齢の人にも発症しますが、40歳代が発病のピークとされています。男女比は1:3で男性より女性に多く認められます。
病因
病気の原因としては、免疫(細菌やウイルスなどから自己を防御するシステム)に異常が生じて関節内に炎症反応がひきおこされ、関節液増加し、軟骨・骨の破壊が進み痛みや腫れの症状を来します。
症状
関節リウマチの症状は手指、足趾、肘といった全身の関節の痛みと腫れ、朝のこわばりなどの症状の他、微熱や倦怠感、食欲不振などの症状があります。
治療方針
近年、治療薬の進歩により関節リウマチの進行を抑えることが可能となりました。また関節リウマチの関節破壊の進行は発症後早期から起こることが分かってきました。そのため、発病してなるべく早い時期に診断して、診断が確定したらすぐ薬物治療を開始するといった考え方がより重要になってきました。
診断
そのため、関節リウマチの診断には、早期診断を重視した米国と欧州のリウマチ学会の合同による新しい基準(2010ACR/EULAR関節リウマチ分類基準)が作成されました。(表)。日本リウマチ学会でもこの基準が検証され、早い時期での関節リウマチ診断に役立つことが示されています。
薬物療法
関節リウマチ薬物療法について
薬物療法の進歩などによりRAの炎症の沈静化が十分に得られる時代となりました。生物製剤(Biologics:通称バイオ)などといった最新の薬物療法により痛みが和らぎ、生活範囲が広がり、できなかった運動が少しずつ出来るようになります。
薬物療法としては、大きく分けて4種類があります。
消炎鎮痛薬(NSAID:エヌセイド)
ステロイドではない抗炎症作用、鎮痛作用を有する薬剤で正式には「非ステロイド性消炎鎮痛薬」といい、略称「NSAID:エヌセイド」と呼ばれる薬です。鎮痛効果を期待し使用します。
抗リウマチ薬(DMARDs:デイーマード)
関節リウマチの免疫異常をコントロールして病気の進行を抑える働きがあります。リウマチの罹患期間ができるだけ短いほどDMARDsの効果は高く早期からの導入が勧められています。リウマチと診断されたほとんどの患者様がDMARDsの適応と考えられます。
副腎皮質ホルモン(ステロイド)
炎症を早期に改善し関節の腫れや痛みを速効的に和らげる働きがあります。消炎鎮痛薬や抗リウマチ薬を用いても、炎症が十分に抑えられない場合に用います。
生物学的製剤(通称バイオ)
2003年には日本でも生物製剤という新しい作用機序の薬を使用することが可能となりこれまでの薬物療法では治りにくかった患者様においても十分な効果が期待できるようになりました。関節の痛みや腫れなどの炎症を引き起こすサイトカイン(TNF-αやIL-6など)やTリンパ球の働きを妨げ、関節破壊の進行を抑えます。国内では現在7種類の生物製剤が使用可能です。当院でもこれらの薬を採用しており症例を選び早期から積極的に使用することで寛解(関節炎による症状がなく、検査値も正常な状態)にむけた関節リウマチの治療成績を向上させています。
222例
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